エアコンは夏のほうが電気を食いそうな気がしますが、実際は冬のほうが高くなります。理由は温度差です。
- 夏 … 外が35℃、設定が28℃。差は7℃
- 冬 … 外が7℃、設定が20℃。差は13℃
エアコンは、外の空気との差を埋めるために電気を使います。差が2倍近いのだから、冬のほうが高くつくのは当然です。
つまり、冬の暖房費は「使いすぎ」ではなく構造的に高い。だからこそ、効く対策と効かない対策の区別が大事になります。
設定温度は20℃が基準
環境省が推奨している暖房の設定温度は20℃です。そして、ここが重要です。
設定温度を1℃下げると、消費電力がおよそ10%減ります。20℃を19℃にするだけで1割です。
「20℃では寒い」と感じるなら、温度を上げる前に、体感温度を上げる方法を試してください。そのほうが確実に安く済みます。
サーキュレーターがいちばん効く

暖房費の話でいちばん費用対効果が高いのが、これです。
暖かい空気は軽いので、天井に溜まります。足元は寒いのに顔のあたりだけ暑い、という状態がこれです。エアコンは室温を測って動くので、天井付近だけ暖まっていても「もう十分」と判断してしまいます。
サーキュレーターで空気をかき混ぜると、こう変わります。
- 天井と床の温度差が、約10℃から1℃に縮む
- 床付近の温度が約2℃上がる
- 結果、設定温度を3℃下げても同じ暖かさに感じる
- 省エネ効果は最大24%
サーキュレーターの消費電力は数十W程度です。エアコンの設定を3℃下げられるなら、確実に元が取れます。
置き方
- 部屋の角から、エアコンに向かって斜めに風を送る
- 家具で斜めに置けないなら、真上に向けて床から天井へ風を流す
どちらも、天井に溜まった暖気を下ろすのが目的です。人に風を当てる必要はありません。むしろ体に当てると、風で体温が奪われて逆効果になります。
30分以内の外出なら、つけっぱなし
「こまめに消す」が節約だと思われがちですが、暖房では逆になることがあります。
エアコンは、部屋を設定温度まで持っていくときに最も電気を使います。安定してからの維持は、意外と電気を食いません。
メーカーの実験によると、30分程度の外出なら、つけっぱなしのほうが安く済みます。30分から1時間でも、つけっぱなしのほうが総消費電力が少なくなる場合があります。
- 買い物やゴミ出しなど、30分以内 → つけたまま
- 数時間の外出 → 消す
「ちょっとそこまで」で消して、帰ってきてフル運転させるのがいちばん高くつきます。
加湿すると、体感温度が上がる
同じ室温でも、湿度が高いほうが暖かく感じます。つまり、加湿は乾燥対策であると同時に、暖房費の節約手段でもあります。設定温度を1〜2℃下げられれば、それだけで1〜2割です。
加湿器がなくてもできる方法は 部屋の乾燥対策 にまとめました。洗濯物の部屋干しがいちばん効果が大きく、しかもタダです。
ただしやりすぎると結露します。湿度は60%までにしてください。結露の対処は 窓の結露を防ぐ方法 にあります。
フィルター掃除は2週間に1回
フィルターが詰まると、同じ暖かさを出すのに余分な電気を使います。
目安は2週間に1回。掃除機でほこりを吸うだけで十分です。やり方は エアコンのフィルター掃除のやり方 にまとめています。シーズン前に1回やって、あとは月2回。5分で終わる作業なので、これをやらない手はありません。
熱は窓から逃げる
家の中で、熱がいちばん逃げる場所は窓です。壁や天井より、圧倒的に窓から出ていきます。対策は難しくありません。
- 厚手のカーテンにする
- カーテンを床につく長さにする … 隙間から冷気が落ちてくるのを防ぐ
- 窓に断熱シートを貼る
- 夜はカーテンを閉める … 日中は開けて日射を取り込む
カーテンの丈は見落とされがちです。窓下で終わっているカーテンだと、冷えた空気がそこから足元に流れ込みます。
暖房器具の使い分け
全部エアコンでまかなう必要はありません。
| 暖房器具 | 特徴 |
|---|---|
| エアコン | 電気代は高いが、部屋全体を暖められる |
| こたつ・ホットカーペット・電気毛布 | 局所的だが電気代は安い |
| 石油・ガスファンヒーター | 立ち上がりが速く、加湿もされる |
1人で在宅しているなら、部屋全体を暖める必要はありません。こたつや電気毛布で足元だけ暖めるほうが安く済みます。
効率的なのは組み合わせです。立ち上がりの速い暖房で部屋を暖めてから、エアコンで温度を保つ。あるいは、エアコンの設定を低めにして、足元は電気毛布でカバーする。
やりがちな失敗

風を上向きにしない
暖房時は風向きを下に向けてください。暖かい空気は放っておいても上に行きます。上向きにすると天井にしか届きません。冷房と逆だと覚えておくと間違えません。
風量を「弱」にする
節約のつもりで弱にすると、設定温度に届くまでの時間が延びて、かえって電気を使います。「自動」が正解です。機械が必要なぶんだけ回してくれます。
室外機の前をふさぐ
室外機の吸い込み口や吹き出し口の前に物を置くと、効率が落ちます。雪が積もる地域では、雪かきも忘れずに。
つけたり消したりを繰り返す
前述のとおり、立ち上げがいちばん電気を使います。寒くなるたびに入れ直すのが、いちばん高くつくパターンです。
まとめ
- 冬のほうが夏より電気代が高い。外気との温度差が13℃と、夏の7℃より大きいため
- 設定温度の基準は20℃。1℃下げると消費電力が約10%減る
- サーキュレーターがいちばん効く。天井と床の温度差が10℃から1℃に縮む
- 床付近が約2℃上がり、設定温度を3℃下げても同じ暖かさ。省エネ効果は最大24%
- サーキュレーターはエアコンに向けて斜めか、真上へ。人には当てない
- 30分以内の外出ならつけっぱなしのほうが安い。数時間なら消す
- 加湿すると体感温度が上がる。部屋干しはタダでできて効果も大きい
- ただし湿度60%まで。超えると結露する
- フィルター掃除は2週間に1回。5分で終わる
- 熱は窓から逃げる。厚手で床につく丈のカーテンにする
- 局所暖房と使い分ける。1人なら部屋全体を暖める必要はない
- 暖房の風向きは下。冷房と逆
- 風量は「自動」。弱にすると逆に高くつく
- つけたり消したりを繰り返さない。立ち上げがいちばん電気を使う

