防災の備蓄は何をどれだけ?ローリングストックの始め方と見直し方

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缶詰や水のボトルを倉庫街に見立てたミニチュアジオラマ:防災備蓄のイメージ

毎年この時期になると防災用品の特集を見かけますが、多くの家庭に必要なのは新しく買い足すことではなく、すでにあるものを確認することだったりします。

数年前に買った非常食が、押し入れの奥で期限切れになっている。電池を入れっぱなしの懐中電灯が液漏れしている。そういう状態を放置したままだと、いざというとき使えません。

この記事では、何をどれだけ備えればいいかの目安と、期限切れを起こさない「ローリングストック」のやり方をまとめます。9月1日を、年に一度の点検日にしてしまうのがおすすめです。

目次

どれだけ必要か:最低3日、できれば1週間

備蓄の量は「最低3日分、できれば1週間分」が目安とされています。

3日というのは、救助や支援が届き始めるまでの時間です。ただし大きな災害では、電気・ガス・水道の復旧に1週間以上かかることもあり、その間はスーパーの棚も空になります。

いきなり1週間分を揃えるのが大変なら、まず3日分を確実に確保して、そこから少しずつ増やすやり方で構いません。

水:1人1日3リットル

水と携帯トイレの必要量を人数別・日数別にまとめた早見表の図解

飲み水と調理に使う水を合わせて、1人あたり1日3リットルが目安です。

人数3日分1週間分
1人9L21L
2人18L42L
3人27L63L
4人36L84L

2Lのペットボトル6本入りが1箱12Lなので、4人家族で1週間分なら7箱です。かなりの量になります。

なお、この3リットルは飲用と調理用の話です。手洗いやトイレを流すための生活用水は別に必要になります。風呂の残り湯を捨てずに溜めておく、という習慣はここで効いてきます。

食料は「非常食」でなくていい

備蓄というと、乾パンや5年保存のアルファ米を思い浮かべるかもしれません。ですが、あれを買うとたいてい存在を忘れます。そして数年後、期限切れで捨てることになります。

そこで出てくるのがローリングストックという考え方です。普段から食べているものを少し多めに買っておき、古いものから食べて、食べた分を買い足す。これを繰り返せば、常に一定量の備蓄がありながら、期限切れも起きません。

備蓄用に特別なものを買うのではなく、いつもの買い物の延長で備える。これがいちばん続きます。

備えておきたい食料の組み合わせ

主食だけあっても食事にならないので、組み合わせで考えます。

  • 主食:米、レトルトご飯、乾麺、パスタ、カップ麺、シリアル
  • 主菜:肉・魚の缶詰、レトルトカレー、レトルト丼の具
  • 副菜:野菜ジュース、果物の缶詰、乾物(切り干し大根、わかめ)
  • その他:塩・砂糖・しょうゆなどの調味料、菓子類、栄養補助食品

意外と重要なのが菓子類です。災害時は強いストレスがかかります。甘いものがあるかどうかで、精神的な余裕がかなり違います。

ローリングストックのやり方

ローリングストックの4ステップ循環図と、古いものから消費される収納配置を示した図解

難しいことはありません。4つだけです。

1. 普段使うものを「1.5倍」買う

一度に大量に買い込む必要はありません。いつもの買い物で、レトルトや缶詰を1〜2個多めにカゴへ入れる。これを何回か繰り返せば、自然と備蓄になります。

2. 古いものから使う

これが肝心です。せっかく備えても、新しいものから使ってしまうと古いものが溜まり続けます。

3. 使った分を買い足す

食べたら、次の買い物で補充する。ここまでがワンセットです。

4. 収納は「手前から取れる」配置にする

新しく買ったものを奥に入れ、手前から取る。この配置にしておけば、意識しなくても古いものから消費されます。

奥から取り出しにくい収納だと自然と手前ばかり使うことになるので、箱やケースを使って前後に並べられるようにしておくとうまくいきます。

最も忘れられているのが「トイレ」

備蓄の話で食料と水は必ず出てきますが、トイレの備えが抜けている家庭が非常に多いです。

断水すると、水洗トイレは流せません。マンションでは、下水管の破損に気づかずに流すと、階下に汚水が逆流する危険もあります。復旧までのあいだ、トイレはそのまま使えなくなると考えてください。

必要な回数を計算してみる

人が1日にトイレへ行く回数は、平均で5回程度とされています。

人数3日分1週間分
1人15回分35回分
2人30回分70回分
3人45回分105回分
4人60回分140回分

4人家族で1週間なら140回分です。想像より多いのではないでしょうか。災害が長引いたり、ストレスで回数が増えることもあるため、算出した数に2〜3割上乗せしておくと安心です。

携帯トイレの基本

いま使っている洋式便器にかぶせて使う「携帯トイレ」が現実的です。便器にポリ袋をかぶせ、その上に凝固剤付きの便袋をセットして使います。使用後は袋の口を縛って、指定の方法で保管・処分します。

食料より優先順位が低く見られがちですが、食べれば必ず出ます。水や食料と同じ日数分を用意しておく必要があります。

食べ物以外に必要なもの

カセットコンロとボンベ

電気もガスも止まると、加熱調理ができなくなります。カセットコンロがあれば、湯を沸かしてカップ麺を作る、レトルトを温めるといったことができます。

ボンベは強火の連続使用で1本あたり約1時間が目安です。1人1週間で6本程度を見ておくとよいとされています。

明かりと情報

  • 懐中電灯またはランタン(人数分あると安心)
  • 乾電池(サイズ違いに注意)
  • モバイルバッテリー
  • 電池式または手回し式のラジオ

停電時はスマホが情報源になりますが、通信が混雑したり基地局が停止したりすることもあります。ラジオがあると確実です。

衛生用品

  • ウェットティッシュ(体を拭ける大きめのもの)
  • ポリ袋(大小。ゴミ袋にも防水にもなる)
  • ラップ(食器に敷けば洗わずに済む)
  • マスク、消毒液
  • 生理用品

ラップとポリ袋は用途が広く、備えておく価値が高いです。水が貴重な状況で食器を洗わずに済むのは大きな差になります。

家庭ごとに必要なもの

  • 乳幼児:ミルク、離乳食、おむつ、おしりふき
  • 高齢者:常備薬、おかゆなど食べやすいもの、大人用おむつ
  • 持病がある人:処方薬(お薬手帳のコピーも)
  • ペット:フードと水、トイレ用品

このあたりは代替が利かないので、優先的に確保してください。

意外な期限切れ:カセットボンベ

食品の賞味期限は気にしても、こちらは見落とされます。

カセットボンベにも使用期限があり、製造から7年程度が目安とされています。ボンベの底に製造年月が刻印されていることが多いので、点検の際に確認してみてください。同様に、次のものも期限や劣化があります。

  • 乾電池(使用推奨期限あり。入れっぱなしは液漏れの原因)
  • 携帯トイレの凝固剤(製品により期限あり)
  • 消火器(一般家庭用でおおむね5年程度)
  • 非常用持ち出し袋の中の食品・電池

置き場所がないなら「分散備蓄」

1週間分となると、まとまった収納が必要になります。1か所に置けないなら、分けて置いて構いません。

  • 台所の棚(食料・水の一部)
  • 押し入れやクローゼット
  • 玄関付近(持ち出し用の最小限セット)
  • 車のトランク(水と簡単な食料)

分散させると、家の一部が損傷しても全部を失わずに済むという利点もあります。1か所にまとめておくのが理想とは限りません。

年1回の見直しチェックリスト

防災の日(9月1日)や、3月11日を点検日にしておくと忘れません。次を確認してください。

  • 食品の賞味期限(切れそうなものは今週の食卓へ)
  • 水の期限
  • カセットボンベの製造年月
  • 乾電池の液漏れ・使用推奨期限
  • 懐中電灯が実際に点くか
  • 携帯トイレの数が足りているか
  • 家族構成の変化に合っているか(子どもの成長、家族が増えた/減った)
  • 常備薬の期限
  • 持ち出し袋の中身(季節に合った衣類か)

「点いて当たり前」と思っている懐中電灯が点かないのは、実際によくあります。年1回、実際にスイッチを入れてみてください。

まとめ

  • 備蓄は最低3日分、できれば1週間分。まず3日分を確実に揃える
  • 水は1人1日3リットル。4人家族の1週間分なら84L(2L×6本で7箱)
  • 食料は特別な非常食でなくていい。普段食べるものを多めに買う(ローリングストック)
  • ローリングストックは「1.5倍買う→古いものから使う→買い足す→手前から取る配置」
  • 主食だけでなく主菜・副菜・菓子を組み合わせる。菓子はストレス対策として有効
  • 最も抜けやすいのがトイレ。1人1日5回が目安で、4人家族の1週間分は140回分
  • カセットボンベは1人1週間で6本程度。使用期限は製造から約7年
  • ラップとポリ袋は用途が広く、水が貴重な状況で効く
  • 乳幼児・高齢者・持病・ペットの分は代替が利かないので優先的に
  • 置き場所がなければ分散備蓄。家の一部が損傷しても全部を失わずに済む
  • 9月1日と3月11日を点検日に。懐中電灯は実際に点けて確認する

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Ex-TORANOMAKIを運営している市田健人(いちだ けんと)です。東京でWeb制作とデザインの仕事をしながら、2026年2月に「ベースケント合同会社(BASE KENT)」を設立しました。暮らしの「ちょっと困った」から、Web制作の「あの一行どう書くんだっけ」まで、自分で調べて裏が取れたことだけを書いています。体験していないことを、さも知っているかのようには書かない。それだけを守っています。

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