毎年12月になると、住所録を開いて憂鬱になる。印刷して、宛名を書いて、一言添えて、投函する。年々その負担が重く感じられる。
かといって、黙ってやめるのも気が引ける。相手が出してくれたのに自分だけ返さないのは失礼な気がするし、かといって「もう出しません」と伝えるのも角が立ちそうで言い出せない。こうして毎年ずるずると続いている人は多いと思います。
年賀状じまいは、近年めずらしいものではなくなりました。伝え方さえ間違えなければ、関係を損なわずに終わりにできます。この記事では、その具体的な書き方をまとめます。
まず整理:喪中欠礼とは別物
混同されやすいので、先に分けておきます。
| 喪中欠礼(年賀欠礼) | 年賀状じまい | |
|---|---|---|
| 意味 | 今年は年賀状を出さない | 今後は年賀状のやりとりを終える |
| 理由 | 身内に不幸があったため | 負担軽減、高齢、連絡手段の変化など |
| 期間 | その年だけ | 継続的 |
| 出す時期 | 11月〜12月上旬 | 年賀状に添える、または寒中見舞いで |
喪中欠礼は「今年は失礼します」という一時的なお知らせです。年賀状じまいはそれとは違い、今後の関係のかたちを伝えるものになります。
いつ、どう伝えるか
方法は主に3つあります。
方法1:最後の年賀状に書き添える(もっとも一般的)
その年の年賀状に、年賀状じまいの一文を添えます。新年の挨拶をきちんとしたうえで終わりを伝えられるので、いちばん角が立ちにくい方法です。
方法2:寒中見舞いで伝える
年が明けてから、松の内を過ぎたタイミングで出します。年賀状を出しそびれた場合や、年末に間に合わなかった場合の選択肢です。
方法3:喪中はがきと一緒には書かない
喪中欠礼のはがきに年賀状じまいを併記するのは避けたほうが無難です。喪中はがきは「今年の欠礼をお詫びする」ためのものなので、そこに別の話を混ぜると意図が伝わりにくくなります。伝えるなら、翌年の年賀状か寒中見舞いで改めて行うほうが丁寧です。
文例

どのパターンでも、基本の構成は同じです。
- 新年の挨拶
- これまでのお礼
- 年賀状じまいの意向(と、簡単な理由)
- 今後も関係は変わらないという一言
- 相手を気づかう言葉
文例1:高齢を理由にする場合
明けましておめでとうございます
長年にわたり年賀状をいただき 心より御礼申し上げます
私も年齢を重ね 年始のご挨拶を続けることが難しくなってまいりました
誠に勝手ながら 本年をもちまして年賀状でのご挨拶を控えさせていただきます
今後も変わらぬお付き合いをいただければ幸いです
皆さまのご健康を心よりお祈り申し上げます
文例2:年代を問わない一般的な書き方
明けましておめでとうございます
これまで温かいお便りをいただき ありがとうございました
時代の変化もあり 本年をもちまして年賀状によるご挨拶を最後とさせていただくことにいたしました
今後はメールやお電話でご連絡させていただければと存じます
変わらぬお付き合いをお願い申し上げます
文例3:連絡先を添える場合
明けましておめでとうございます
昨年も大変お世話になりました
誠に勝手ながら 本年をもちまして年賀状でのご挨拶を控えさせていただきます
今後はこちらへご連絡いただけますと幸いです
(メール:〇〇〇@〇〇 / 電話:000-0000-0000)
これからも変わらぬお付き合いをお願いいたします
文例4:仕事関係の相手に
謹んで新年のお慶びを申し上げます
平素より格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます
誠に勝手ながら 本年をもちまして年始のご挨拶状を控えさせていただきます
今後とも変わらぬご厚誼を賜りますようお願い申し上げます
必ず入れたい一文
文例すべてに共通して入れている部分があります。「今後も変わらぬお付き合いを」という趣旨の一文です。
これがないと、年賀状じまいが関係そのものの終了と受け取られかねません。相手からすれば「縁を切られた」と感じても不思議ではない文面になってしまいます。
やめるのは年賀状であって、付き合いではない。ここを明確に書いてください。
さらに、メールアドレスや電話番号などの連絡先を添えると、その意図がはっきり伝わります。「今後はこちらで」という具体的な代替手段があると、相手も安心できます。
やってはいけない書き方
理由を細かく書きすぎる
「忙しくて」「手が痛くて」「費用がかかるので」と事情を並べると、言い訳めいた印象になります。簡潔に一言添える程度で十分です。
相手を軽んじる表現
「面倒なので」「意味がないと感じたので」といった書き方は、受け取った側を否定することになります。理由は自分側の事情として書いてください。
句読点を使う・忌み言葉
年賀状では伝統的に句読点を使わない習わしがあります。また「終わる」「切る」「絶える」といった言葉は避けます。「終わりにします」より「控えさせていただきます」のほうが柔らかく伝わります。
一方的な通告に見える書き方
「今年で最後にします」だけで終わると、事務連絡のようになります。お礼と今後への言葉を必ずセットにしてください。
相手を選んでやめるべきか
「全員やめるのは寂しいので、親しい人だけ続けたい」と考える人もいます。気持ちはわかりますが、基本的には一律にやめるほうが無難です。
理由は単純で、選別していることが相手に伝わる可能性があるからです。共通の知人がいる場合、「私には来なくなったのに、あの人には届いている」という状況が生まれます。これは角が立ちます。
続けたい相手がいるなら、年賀状ではない形で個別に連絡を取るほうが結果的にうまくいきます。
出す時期の目安

年賀状じまいも通常の年賀状と同じ扱いです。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 12月15日ごろ | 年賀はがきの引受開始(例年) |
| 12月25日ごろまで | 元日に届けるための投函期限の目安 |
| 1月1日〜7日ごろ | 松の内。ここまでに届けば年賀状として成立 |
| 1月8日〜2月上旬 | 松の内を過ぎたら寒中見舞いに切り替える |
松の内は地域によって異なり、関西では1月15日までとする地域もあります。年賀状の引受開始日や配達の取り扱いは年によって変わることがあるので、最新の日程は日本郵便の案内で確認してください。
やめた後、相手から届いたら
年賀状じまいを伝えても、翌年に年賀状が届くことがあります。理由はいくつかあります。
- 印刷や投函を先に済ませていた
- 住所録から外し忘れていた
- そもそも読み落としていた
その場合、無視する必要はありません。寒中見舞いで一度だけ返信すると、こちらの意向も改めて伝わり、関係も穏やかに保てます。数年かけて自然に減っていくものなので、一度で完全に止まらなくても気にしないでください。
まとめ
- 年賀状じまいは近年めずらしくない。伝え方さえ間違えなければ関係は損なわない
- 喪中欠礼(今年だけ)と年賀状じまい(今後ずっと)は別物。混同しない
- 喪中はがきに年賀状じまいを併記するのは避ける
- 伝えるのは「最後の年賀状に添える」か「寒中見舞い」で
- 文例の基本構成は、挨拶 → お礼 → 意向 → 今後も変わらぬお付き合いを → 気づかい
- 「今後も変わらぬお付き合いを」の一文は必須。ないと関係の終了と受け取られる
- メールアドレスなど連絡先を添えると意図が伝わりやすい
- 理由は簡潔に。細かく書くと言い訳めいて見える
- 「終わりにします」より「控えさせていただきます」
- 相手を選ばず一律にやめるほうが無難。選別は伝わると角が立つ
- 元日に届けるには12月25日ごろまでの投函が目安。最新は日本郵便で確認
- 松の内(1月7日ごろ)を過ぎたら寒中見舞いに切り替える
- やめた後に届いても無視しない。寒中見舞いで一度返せばよい

