スマホにこんなSMSが届きます。
「お客様のお荷物をお届けにあがりましたが、不在のため持ち帰りました。下記よりご確認ください」
心当たりがある日ほど、つい押してしまいます。実際に荷物を待っているときなら、なおさらです。
このSMSの多くは偽物です。宅配業者を装って、本物そっくりの偽サイトに誘導し、IDやパスワード、クレジットカード情報を入力させる。あるいは、不正なアプリをインストールさせる。そういう手口です。
「日本語が変」では見分けられなくなった
以前はこう言われていました。「文章が不自然だから見分けられる」「日本語がおかしい」。これはもう通用しません。
生成AIの悪用で、文面が自然になっています。誤字も不自然な言い回しもない、本物と区別がつかない日本語で届きます。だから、文面を読んで判断するという方法そのものを捨てる必要があります。
結論:見分けようとしない

覚えることは1つだけです。
SMSのリンクは踏まない。確認するなら、自分で開く。
- 宅配業者の公式アプリを開いて、荷物の状況を見る
- または、自分で検索して公式サイトへ行き、伝票番号を入力する
SMSの中のリンクからは、絶対に行かない。これだけで、この手口のほぼすべてを避けられます。本物の不在通知だった場合も、公式アプリや公式サイトから同じ情報にたどり着けます。急いでリンクを押す理由は、何ひとつありません。
なぜこれが効くのか
偽SMSは、リンクを踏ませるところが唯一の入り口です。そこを通らなければ、どんなに文面が巧妙でも被害は起きません。見分ける能力を上げるより、入り口を使わないと決めるほうが確実です。
それでも判断材料が欲しいなら
とはいえ、気になるときはあると思います。以下は「怪しい」と考える材料です。
- 本文にURLが貼られている
- 差出人が個人の携帯番号や、見慣れない番号
- 「本日中に」「手続きがされない場合は破棄します」など、急かす文言
- アプリのインストールを求める
- URLが公式ドメインと微妙に違う(1文字だけ違う、余計な文字列が付いている)
ただし、これらに当てはまらない偽物もあります。判断材料であって、安全の証明ではありません。結局、リンクを踏まないのがいちばん確実です。
ややこしいのは、本物もSMSを送ること
「宅配業者はSMSを送らない」と言い切れれば簡単なのですが、実際には本物の通知もSMSで届きます。配達予定の連絡、再配達の案内。ここが厄介なところです。
だからこそ、本物か偽物かを判断するのではなく、「どちらであっても公式アプリで確認する」という運用に切り替えるのが現実的です。
宅配業者の公式アプリを入れておくと、これがかなり楽になります。荷物の状況も再配達の依頼も、アプリの中で完結します。
踏んでしまったときの対処

やってしまった場合でも、段階によって対応が変わります。慌てずに、どこまでやったかを確認してください。
段階1:リンクを開いただけ
IDやパスワードなどを入力していなければ、ただちに大きな被害が出る可能性は低いとされています。ページを閉じて、それ以上何もしないでください。念のため、しばらくの間はスマホの動作や身に覚えのない通知に注意しておきます。
段階2:IDやパスワードを入力してしまった
すぐに対応が必要です。
- そのサービスのパスワードをすぐに変更する
- 同じパスワードを使っている他のサービスも、すべて変更する
- 可能なら二段階認証を設定する
2つ目がいちばん重要です。パスワードを使い回していると、被害が1つのサービスで済みません。盗まれたIDとパスワードの組み合わせで、他のサービスへのログインが試されます。
段階3:クレジットカード情報を入力してしまった
カード会社にすぐ連絡してください。カードの利用停止と再発行の手続きになります。あわせて、利用明細に身に覚えのない請求がないかを確認してください。
段階4:アプリをインストールしてしまった
いちばん危険な段階です。不正なアプリは、スマホの中の情報を抜き取ったり、あなたの番号から他人へ同じSMSを送ったりします。
- そのアプリをすぐに削除する
- セキュリティアプリでスキャンする
- 携帯会社やメーカーの窓口に相談する
心当たりがあるなら、自己判断で様子を見ないでください。
相談先
警察相談専用電話(#9110)、または消費者ホットライン(188)で相談できます。金銭的な被害が出ている、または出そうな場合は、早めに連絡してください。
予防のためにやっておくこと
一度設定しておけば、その後は効きます。
- 宅配業者の公式アプリを入れる … 確認の経路を先に作っておく
- パスワードを使い回さない … 被害を1か所で止められる
- 二段階認証を設定する … パスワードが漏れても、もう1段階で止まる
- 携帯会社の迷惑SMSフィルターを設定する … 各社が無料で用意しています
- Androidなら、提供元不明のアプリのインストールを許可しない
パスワードの管理が面倒なら、パスワード管理アプリを使うという手もあります。全部覚える必要がなくなります。
家族に伝えておく
この手口は、知っているかどうかだけで結果が変わります。特に、スマホに不慣れな家族には、文面での見分け方ではなく、行動のルールを1つだけ伝えてください。
「宅配のSMSが来ても、リンクは押さない。荷物のことは家族に聞くか、アプリで見る」
覚えることが1つなら、伝わります。見分け方を10個教えても、いざというときには思い出せません。
なお、スマホの動作が急におかしくなったと感じたときの切り分けは スマホの動作が遅い・重い時の対処法 にまとめています。機種変更のタイミングで設定を見直すなら スマホの機種変更前にやること も参考にしてください。
まとめ
- 宅配の不在通知を装った偽SMSが多く出回っている
- 生成AIの悪用で文面が自然になり、「日本語が変」では見分けられなくなった
- 覚えることは1つ。SMSのリンクは踏まない。確認は自分で開く
- 公式アプリを開くか、自分で検索して公式サイトで伝票番号を入れる
- 偽SMSはリンクを踏ませるところが唯一の入り口。そこを使わなければ被害は起きない
- URLが本文にある、急かす、アプリのインストールを求めるものは怪しい
- ただしこれらに当てはまらない偽物もある。判断材料であって安全の証明ではない
- 本物の宅配業者もSMSを送る。だから見分けるのではなく、確認の経路を固定する
- 踏んだだけなら被害の可能性は低い。閉じてそれ以上何もしない
- パスワードを入力したら、そのサービスと同じパスワードの全サービスを変更
- カード情報を入力したら、カード会社にすぐ連絡
- アプリを入れてしまったら、削除してスキャン、窓口に相談
- 相談先は警察相談専用電話(#9110)と消費者ホットライン(188)
- 予防は公式アプリ・パスワードの使い回しをやめる・二段階認証・迷惑SMSフィルター
- 家族には行動のルールを1つだけ伝える。見分け方を10個教えても思い出せない

