そもそも小学校の学級経営とはどういうものなのか、まずは理解しておきましょう。そして、その上で自分のクラスにはどのような学級経営が必要か考えていくことが大切です。
また、なぜ今、学級経営が重視されるのかも解説していきます。
小学校の学級経営とは?
小学校の学級経営について、文部科学省では以下のように記載されています。
この学級・ホームルームという場において、一人一人の児童生徒の成長発達が円滑にかつ確実に進むように、学校経営の基本方針の下に、学級・ホームルームを単位として展開される様々な教育活動の成果が上がるよう諸条件を整備し運営していくことが、学級経営・ホームルーム経営と言われるものです。
引用:『生徒指導提要』平成22年|文部科学省
小学校の学級経営の最終目的は、子供の成長が円滑に確実に進むようにするためで、そのためにクラスの環境を整備して運営していくことが大切であるということです。
まずは信頼関係を築くこと
また、以下のような記載もあります。
教師と児童の信頼関係及び児童相互の好ましい人間関係を育てるとともに児童理解を深め、生徒指導の充実を図ること。
引用:教育課程編成の一般方針|文部科学省
つまり、担任の先生とクラスの子供との間でまずは信頼関係を築き上げ、そこから子供に対する理解を深めていくことが大切であるということです。
小学校の学級経営に関して、さまざまな実践例がありますが。大前提として、先生と子供の信頼関係があってこそ実現可能なのです。
そのため、学級経営で一番ポイントになる部分は「子供との信頼関係を築くこと」です。
先生と子供の信頼関係を築くことが学級経営のはじめの一歩
小学校の学級経営で大切な5つのポイント
小学校の学級経営をしていく中で、まずは「子供との信頼関係を築くこと」が大前提であるとしました。
その他にも小学校の学級経営で大切なポイントを5つ紹介します。
この5つのポイントをしっかり意識して学級経営を行えば、子供が楽しく学校に通えるようなクラスになるはずです。
ちなみにこの5つの順番は重要な順になっています。それぞれ詳しく解説していきます。
教室環境の整備
小学校の学級経営で大切なポイントの1つ目は「教室環境の整備」です。
小学生の子供にとって、1日の中で一番長く過ごす場所は教室であること知っていますか?
実際の時間としてはもちろん自宅ですが、活動している場所で一番長いのが学校の教室です。朝8時に投稿して15時ごろ下校します。1日の中で7時間程度過ごす場所です。
そんな教室の環境を整えることが重要であることは、すぐに理解できますね。
すぐに取り組める
また、他の実践方法と違い、すぐに取り組めるのが教室環境の整備でもあります。
机や掲示物を整頓することはすぐにできますし、目に見えて綺麗になります。
綺麗な整頓された環境で過ごすことは、子供たちの心の安定状態にも大きく影響があるはずです。
机が乱雑で、掲示物も破れ、ゴミが落ちているような教室で、クラスをどうにかしようとしてもどうにもできませんよね。
例えば、以下のようなことがすぐに実践できる教室環境の整備です。
- 机を整頓する
- 掲示物を整える
- 本を揃える
- ゴミ箱を綺麗にする
- 教師用の机を整頓する
- 黒板を綺麗に保つ
まずは、教室環境を整えましょう。
「教室が汚いと学級崩壊しやすくなる」という言葉があるぐらいですから気をつけましょう!
児童の理解
小学校の学級経営で大切なポイントの2つ目は「児童の理解」です。
クラスの子供のことをきちんと理解することは、先生の仕事でもあります。子供一人ひとりが、生き生きと活躍してのびのびと安心して過ごせる学級にするためには、児童一人ひとりの理解が大切です。
先生と子供の信頼関係ができて、子供のことをきちんと理解することができれば、子供は安心して学校に来ることができます。
児童の理解のために大切なこと
子供のことをきちんと理解するためには、子供のいろいろな面を見てあげることが大切です。
勉強が得意な子、運動が得意な子、絵が上手な子、お話が上手な子など、いろいろな子供がいます。
まずは、一人ひとりの子供の得意分野を見つけていきましょう。そして、「先生はちゃんとその部分を見ているよ」ってわかるように、さりげなく声をかけてあげると、
あ、先生は僕のことちゃんと見てくれているんだ
って安心してもらえますね。
休み時間に子供と関わると、意外な一面を見られますね!
連携や協力
小学校の学級経営で大切なポイントの3つ目は「連携や協力」です。
担任の先生だけで、よりよい学級経営を実践することはできません。そのためには、学校や保護者との連携や協力が必要不可欠です。
学校との連携
クラスの子供たちは、教室だけで過ごすわけではありません。学校の中で過ごすので、担任の先生以外とも、他のクラスの子供とも関わります。
学級経営と言いつつも、教室の中だけでおさまるものではありません。
そのため、同僚の先生との連携や協力が必要です。
例えば、突発的な行動を起こしやすい子供の対応連携や、教室外で起きた出来事の情報共有は大切になってきます。
家庭との連携
学校での生活に、家庭の協力は欠かせません。
子供はまだうまく自分の感情のコントロールができないので、家庭でうまくいかなかったときは、学校でもうまくいかなくなりますし、逆に学校でうまくいかなかったときは、家庭でもうまくいかなくなります。
そんなときに、担任と保護者で連絡を取り合って、連携・協力することで、子供にとって過ごしやすい毎日を送ることができます。
何事も抱え込まず、助け合いが大切です。
わかりやすい授業
小学校の学級経営で大切なポイントの4つ目は「わかりやすい授業」です。
学校生活のほとんどの時間が授業時間です。その授業時間をわかりやすい授業時間にすることは、学級経営において重要なことです。しかし、この部分は一番難しい部分であることは間違いないでしょう。
子供は勉強したいと思っている
子供たちはもともと勉強したい気持ちがあります。今までできなかったことができるようになるのは嬉しいですからね。
しかし、先生の授業がわかりにくかったり、つまらなかったりすると、途端に意欲は失せ、集中力が切れてしまいます。
せっかくの子供の意欲も、つまらない授業のせいで台無しになってしまいます。
授業がわかりにくいとすぐ飽きちゃうよ〜
そうならないためにも、わかりやすい授業をすることは大切です。
日々の教材研究や、研究授業などがあり、その経験を繰り返していくことで、少しずつ授業力が身につきます。
一朝一夕で身に付くものではありませんので、毎日意識しながら少しずつ身につけていきましょう。
いかにわかりやすく、飽きさせない授業が大切です!
居心地のいい学級づくり
小学校の学級経営で大切なポイントの5つ目は「居心地のいい学級づくり」です。それは、学級経営のゴールともいえるでしょう。
居心地のいいクラス、安心して過ごせるクラスを作っていくことが、担任の先生の最終的なゴールとも言えます。
理想は担任なしでもどうにでもなる
そして、学級経営の一番の理想は、担任の先生がいなくても問題ないクラスづくりです。
担任の指示なしでも、担任が不在でも、子供同士が協力し合い、理解し合い、行動できることが一番の理想です。
そのためにも、今までの4つのポイントを着実に実践していきましょう。
そうすることで、自然と居心地のいい学級になります。もちろん、一番の根底には先生と子供の信頼関係です。
信頼される先生を目指していきましょう。
毎日学校にいくことが楽しみになるようなクラスを作りたいですね。
なぜ今学級経営が重視されるのか?
なぜ今、学級経営が重視されるのかというと、今後の社会の変化を見据えた結果今必要だと判断されたからです。
令和3年1月26日の中教審の答申では、以下のように記載されていました。
一人一人の児童生徒が、自分のよさや可能性を認識するとともに、あらゆる他者を価値のある存在として尊重し、多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切り拓き、持続可能な社会の創り手となることができるようにすることが必要
引用:「令和の日本型学校教育」の構築を目指して|文部科学省
つまり以下の3つがポイントになります。
- 子供が自分の良さや可能性を認識すること
- 多様な人々の価値を尊重すること
- 多様な人々と協力しながら社会の変化を乗り越えること
今の教育には、自分を認め、他者を認め、互いに協力しいくことが重要だということです。
今後の社会は、急速に発展したり、未曾有の災害の恐れがあったりと、予測不可能だと言われています。
予測不可能な未来に対して、自分一人ではなく協力することが大切です。
そのためにも、小学校段階で学級経営を重視して、自分を認め、他者を認め、互いに協力しいく素地を作っていくことが求められます。
学校教育でも多様性が求められます。
まとめ
ここまで、小学校の学級経営について解説してきました。
大切なことは5つです。
- 教室環境の整備
- 児童の理解
- 連携や協力
- わかりやすい授業
- 居心地のいい学級づくり
そして、根底には先生と子供のより良い信頼関係があります。
まずは、信頼関係を築きましょう。