夏の暑さ対策は誰もが気にしますが、冬は「毛があるから平気だろう」と考えてしまいがちです。
実際には、室内飼いのペットは人と同じくらい寒さに弱いことがあります。特に短毛種や小型犬、子犬・子猫、高齢の子は、自力で体温を保つのが難しくなります。次のような様子が見られたら、寒がっているサインかもしれません。
- 体を丸めて縮こまり、伸びて寝ない
- 震えている
- 暖かい場所から動かない、隅や布団にもぐる
- 動きが鈍く、遊ばなくなった
- 水を飲む量が減った
最後のひとつは見落とされやすいのですが、冬の健康トラブルに直結します(後述します)。
室温の目安
一般的な目安は次のとおりです。
| 室温の目安 | 湿度 | |
|---|---|---|
| 犬 | 18〜22℃程度 | 40〜60% |
| 猫 | 20〜28℃程度 | 40〜60% |
ただし、犬種や体格によって適温はかなり違います。
寒さに強い子・弱い子
比較的強い:柴犬、秋田犬、シベリアンハスキー、サモエド、ゴールデンレトリバーなど、密なアンダーコートを持つ犬種。寒冷地が原産の犬種は冬毛でしっかり守られています。
寒さに弱い:チワワ、トイプードル、イタリアングレーハウンド、ミニチュアピンシャーなど、体が小さい・毛が短い・アンダーコートが少ない犬種。体が小さいほど熱を失いやすくなります。猫も、長毛種と短毛種、また品種によって差があります。
特に注意したい子
- 子犬・子猫(体温調節がまだ未熟)
- 高齢の子(体温を保つ力が落ちる)
- 持病がある子、痩せている子
- 寝たきりなど、自分で移動できない子
最後の「自分で移動できない子」は、次に説明する低温やけどのリスクが特に高くなります。
【重要】低温やけどに注意

冬のペットケアで、もっとも見落とされやすいのがこれです。
熱くない温度でも起きる
低温やけどは、44℃程度の「熱いと感じない温度」でも、長時間触れ続けることで起こります。やけどというと熱湯や火を思い浮かべますが、ホットカーペット、湯たんぽ、ペット用ヒーターといった「心地よい温度」の器具が原因になります。
動物は気づきにくい
人間なら「熱いな」と感じて動きますが、動物には次の事情があります。
- 毛があるため、皮膚が熱を感じにくい
- 気持ちよくて眠り込み、同じ姿勢で長時間過ごす
- 自力で移動できない子は、そもそも逃げられない
そのため、気づいたときには皮膚が傷んでいるということが起こります。
症状
- 皮膚の赤み
- 部分的な脱毛
- 皮膚が硬くなる
- 進行すると水ぶくれ、ただれ
毛に隠れて発見が遅れやすいので、暖房器具を使っている冬は、ときどき体を触って確認してください。異常があれば動物病院で診てもらってください。
対策の基本は「逃げ場を作る」
低温やけども、暑くなりすぎることも、同じひとつの対策で防げます。部屋全体・寝床全体を暖めないことです。
- ホットカーペットはケージや部屋の一部だけに敷く
- 暖かい場所と、涼しい場所の両方を用意する
- ペットが自分で移動して調節できるようにする
動物は自分にとって快適な場所を選べます。だから飼い主がやるべきなのは「ちょうどいい温度にする」ことではなく、選択肢を用意することです。これは夏の暑さ対策でもまったく同じ考え方になります。
器具を選ぶときのポイント
- サーモスタット付き(温度が上がりすぎない)の製品を選ぶ
- 湯たんぽやヒーターは直接触れさせず、タオルや毛布を1枚挟む
- ペット用として売られている製品を使う(人用は温度が高すぎることがあります)
暖房器具ごとの注意点

ストーブ・ファンヒーター
近づきすぎて毛が焦げる、接触してやけどをする、倒して火災になる、といった事故があります。柵やガードで囲うのが確実です。特に猫は暖かい場所へ迷わず近づくので、物理的に触れられないようにしてください。
こたつ
猫が入りたがる定番ですが、中は想像以上に高温になります。長時間入ったままだと、脱水や熱中症のような状態になることがあります。
- 布団の一辺をめくって、出入りできる状態にしておく
- 温度は低めに設定する
- 長く入っているようなら、様子を見て出してあげる
電気コード
暖房器具が増えると、コードも増えます。噛んで感電する事故があり、子犬や猫では特に注意が必要です。コードカバーを使う、家具の裏を通す、届かないようにまとめる、といった対策をしてください。
加湿器
倒して熱湯がかかる事故があります。スチーム式は特に注意し、届かない場所に置いてください。
冬に増える健康リスク
水を飲まなくなる
寒くなると、ペットは水を飲む量が減ります。これが泌尿器のトラブルにつながることがあり、特に猫では注意が必要です。飲水量を増やす工夫をしてください。
- ぬるま湯にしてみる(冷たい水を嫌がる子がいます)
- ウェットフードを取り入れる、ドライフードにお湯を少し足す
- 水飲み場を複数に増やす(移動距離が短いほど飲みます)
- 循環式の給水器を試す
「最近トイレの回数が減った」「尿の量が少ない」といった変化があれば、早めに動物病院に相談してください。
運動不足になる
寒いと散歩や遊びが減り、体重が増えやすくなります。室内での遊びの時間を意識的に作ってください。
乾燥
暖房で空気が乾くと、皮膚のかゆみやフケが出ることがあります。加湿と、ブラッシングによる血行の促進が助けになります。
留守番中の暖房
日中の留守番では、暖房の扱いに迷うところです。
- エアコンをつけたままにするのが、火災リスクの点でも安全
- 設定温度は控えめでよい(つけっぱなしが目的なので)
- 停電やエアコン停止に備え、毛布や巣穴のような寝床を用意しておく
自分でもぐって暖を取れる場所があると、万一のときの保険になります。
犬の散歩で気をつけること
時間帯
早朝と夜は冷え込みます。冬は日中の暖かい時間帯に切り替えてください。
服
短毛種や小型犬、高齢犬は、防寒着を検討してもいいでしょう。ただし嫌がる子に無理をさせる必要はありません。
融雪剤・凍結防止剤に注意
雪の降る地域では、路面に融雪剤がまかれます。これが肉球に付着して炎症を起こしたり、舐めることで体内に入ったりすることがあります。
散歩から帰ったら足を拭く習慣をつけてください。ぬるま湯で洗い流せると、なお安心です。凍結した路面で肉球を切ることもあるので、そのついでに傷がないかも見られます。
車のエンジンルームに猫が入ることがある
最後に、外にいる猫についてです。
冬、猫がエンジンルームの暖かさを求めて入り込むことがあります。そのまま気づかずにエンジンをかけると、大きな事故になります。
対策は簡単です。乗る前にボンネットを軽く叩く、あるいは音を立てる。これだけで中にいる猫が逃げ出します。「猫バンバン」と呼ばれ、自動車メーカーからも呼びかけられている行動です。自分で猫を飼っていなくても、冬の駐車場では気に留めておく価値があります。
まとめ
- 室内飼いのペットは寒さに弱い。丸まる・震える・動かない・水を飲まないはサイン
- 室温の目安は犬18〜22℃、猫20〜28℃程度。犬種・年齢・体格で適温は大きく違う
- 子犬子猫・高齢・持病・自力で動けない子は特に注意
- 低温やけどは44℃程度でも起きる。毛があるため気づきにくい
- 症状は赤み、脱毛、皮膚の硬化。ときどき体を触って確認する
- 対策の基本は「ちょうどいい温度にする」ではなく「逃げ場を作る」
- ホットカーペットは一部だけに敷き、暖かい場所と涼しい場所の両方を用意する
- 湯たんぽ・ヒーターは直接触れさせず、タオルを1枚挟む。サーモスタット付きを選ぶ
- ストーブは柵で囲う。こたつの中は高温になるので出入りできるように
- 電気コードは噛んで感電する危険。カバーや配線の工夫を
- 冬は水を飲む量が減り、泌尿器のトラブルにつながる。ぬるま湯・ウェットフード・水飲み場を増やす
- 留守番はエアコンをつけたままが安全。毛布など自力で暖を取れる場所も用意する
- 散歩は日中に。融雪剤は肉球に危険なので、帰ったら足を拭く
- 冬の駐車場では「猫バンバン」。乗る前にボンネットを叩く
- 気になる変化があれば、早めに動物病院へ

